母親の矛盾した行動

これは実際にあった話だ。

私の姉には

同棲している彼氏がいた。

当時、姉は社会人で

その彼氏は職場の先輩だった。

その同棲中のアパートに

母は合鍵を使ってちょくちょく入った。

姉たちが仕事で不在にしている時間帯だ。

何をしていたかというと、

部屋の掃除、洗濯、ゴミ捨て、晩御飯の作り置き、買い出しなど家事全般。

それだけではない。

彼氏のワイシャツのアイロンかけをし、

彼氏のパンツまで畳んでいた。

パンツを畳みながら言っていた。

「なんであたしがこんなことを

しなくちゃいけないの？

親離れできない娘は困るわ。

こんなだらしない彼氏

さっさと別れればいいのに。」

今から述べるのは

この件の自分なりの解釈だ。

誰も頼んでいないことをやってるのは

母親だ。

世話をしなくちゃいけないのではなく、

本当はしたいのだ。

親離れできない娘ではなく、

子離れできていないのは母親なのだ。

母親の奥底の感情が次第に見えてくる。

(このあとしばらくして二人は別れた)

早く結婚しなさいと言いながら

別れなさいと言うのは、

ちゃんと家の事をやりなさいと言いながら

勝手に世話を焼いてしまうのは、

本当は自分の娘に自立してほしくないからだ。

駄目な娘を甲斐甲斐しくサポートする母親という役割が欲しいからだ。

幸せになってほしい、と言いつつ、

実は足を引っ張っているのは母だ。

それと同時に、

自立したいと言いながら合鍵を渡し、

自由に入れるようにしてしまう我々娘たちも

共依存関係にあるのかもしれない。

私は

母娘関係の難しさを少しずつ

理解しようとしている。